岩田ユキさんは商業映画の監督としてあまり知名度は高くないかもしれないけど、インディペンデント映画の世界では高く評価されていて、これから沢山映画を撮ってくだろうと思われる監督。映像制作講座ではいくつかの岩田監督のショートフィルムが上映されたのだが、ちょっと長めの「少年笹餅」は特に面白かった。
ショートフィルムを撮り続けてきた岩田監督は、ワンアイデアの面白さとアイデアを映像化する手腕がショートフィルム時代は評価されていたんだろうと思う。少年笹餅以前のフィルムを見ると、イラストレータの経歴をもち、女性らしい柔らかい空気感を演出することに長けた監督という印象だった。
少年笹餅は東京から田園の小学校(ロケは全て群馬県中之条)に越してきた少年と少年のあこがれる同級生のまわりで起きたある事件を描いている。
このフィルムを見て驚いたのが、アイデアや雰囲気を活かす才能というより、緻密なストーリーテラーとしての手腕が際立っていること。
物語をどうやって構築していくかとの質問には、最初と最後の着地点は考えているもののあとは、物語には直接表れないような部分まで背景を考えてキャラクターを作り込み、イタコのように登場人物が動きだすのを待つとのことだった。
少年笹餅では各エピソードが空気のように絡みあい緻密に少年達の世界を構築している。たぶん、岩田監督の頭の中では映像化していない少年達の日常生活が本当に細かいところまでイメージされてるんだろうと思う。
ということで少年笹餅は監督のイメージした世界と物語が映画の入れ物の縁ぎりぎりまで注ぎ込まれ、さらに一滴もこぼれないようなぜいたくな映画でした。


